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西側諸国から実際の生産手段を奪ったグローバル化

――現在の世界情勢について、お聞きしたいと思います。ウクライナでの戦争は依然として続いており、アメリカ、イギリス、EU、日本などの西側諸国は、多額の軍事、財政、人道支援を行っています。

しかし、報道を見る限り、戦況は依然として流動的です。あなたは著書の中で多くの国が中立的な立場にとどまることさえせずに、ロシア寄りに傾いていると述べています。

また、あなたは世界的な対立を「西側対東側」ではなく、「西洋対世界」であると表現しています。国際秩序に反するロシアの侵略に、怒りを感じている日本人にとっては、非常に驚くべきことでしょう。

こうした動きを踏まえて、現在の国際情勢をどのように受け止めていますか。また、この戦争は国際秩序のどのような変化を象徴していると思いますか。


まず、現在の状況からお話ししましょう。戦争によって、私たちは現実をより良く認識するようになったと思います。とくに経済の現実です。

もちろん、戦争は恐ろしいもので、ウクライナの人々は、私たちが想像するのも難しいような苦しみを味わっています。多くの人々が殺され、負傷し、障害を負っています。戦争は嘆かわしいものです。

また当然ながら、戦争はロシアの侵攻によって始まりましたので、人々は「ロシアは悪者」「ウクライナ人は善人」と考える傾向を持っています。

しかし、私が基本的に関心を持っているのは、経済的な観点から見た「現実への落とし込み」です。

私たちは、西側諸国――あなたがおっしゃったようにアメリカ、EU、イギリス、日本など――が、GDPの面で途方もない経済力を持っているという考えに取りつかれていました。

たしかに、ロシアのGDPとベラルーシのGDPを合わせると、世界の西側のGDPの4.9%くらいだったと思います。

しかし今、私たちが目の当たりにしているのは、戦争がしばらく続いているということ、そして、西側諸国は信じられないほどの生産力不足に陥っており、アメリカは同盟国とともに、ウクライナ軍に必要な155ミリ砲弾を供給できていないという事実です。ミサイルなども同様です。

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今、私たちが直面しているのは、もはや存在しないも同然と考えていたロシア経済や、ロシアの産業システムの力です。実際、ロシアの産業は西側諸国全体よりも生産性が高いようです。しかも、ロシアがより多くの武器を必要となった場合には、中国には提供できる力があります。

これは、この戦争の「最初の教訓」となりました。

つまり、西欧経済に対する私たちの認識は、バーチャルで、架空で、あるいはまったく非現実的であるという教訓です。ごく当然のことですが、これこそがグローバル化の要点でした。なぜなら、グローバル化は、現実には工場を海外に押し出し、西側諸国から実際の生産手段を奪ったからです。

私にとっては、これが中心的かつ本当に深刻な問題のように思えます。