誰もが一度は遊んだことのある「ガシャポン」。
そんなカプセルトイ自販機を一堂に集めた「カプセルトイ専門店」がここ最近増えている。これまでも、駅構内やショッピングモールのトイレの前など、カプセルトイが並ぶ空間はあったが、看板を出して「ガシャポンの店」としてショップ営業をしているのだ。
本記事では、全国に幅広く店舗展開している、バンダイナムコアミューズメントが手掛ける「ガシャポンのデパート」と「ガシャポンバンダイオフィシャルショップ」に注目した。
お話をうかがったのは、バンダイナムコアミューズメント ベンダー事業部のゼネラルマネージャーである山田昇平さんだ。
想定以上の人気と出店スピードの早さで、全国271店舗へ
「ガシャポンのデパート」は2020年8月、コロナ禍の最中に生まれた。1号店はショッピングモール・横浜ワールドポーターズ内にできた。その1年後の2021年9月に、バンダイ商品のみを扱う「ガシャポンバンダイオフィシャルショップ」がショッピングモール・東京ソラマチ内にオープン。
2024年2月時点では、「ガシャポンのデパート」が115店舗、「ガシャポンバンダイオフィシャルショップ」が156店舗。わずか3年半の間に計271店舗を展開している。
「今年は100店舗以上を開店させました。当初の想像以上に成功したので、年々、出店数を加速させています」
店舗数の増加を支えるのが、出店スピードの速さだ。
「規模にもよりますが、最短3か月で店舗を完成させます。ゲームセンターだと、電気工事などに時間がかかりますが、カプセルトイ専門店の場合、カプセルトイ自販機を用意できればそこまで時間はかからない。しかも当社の場合、自販機はグループ会社の製品であることも多いので、スピーディーに用意できます」
出店攻勢は、コロナ禍だけが原因ではない
カプセルトイのみを置いたショップのアイデアは、2020年のコロナ禍がきっかけとなって生まれた。
「コロナ禍で施設事業全体の集客を再考する必要があり、その中で生まれたアイデアのひとつでした。そこで、ゲームセンターのオペレーションほど人を介さずに楽しむことができる場所として、カプセルトイ専門店が候補に挙がりました」
多くの出店を可能にした背景には、コロナ禍で空きテナントや空きスペースが増えたこともある。しかし、山田さんは、それだけが原因ではない、と言う。
「確かにコロナ禍によって、出店機会は増えました。しかし最近では、オーナーさんが明確に自分のテナントとしてカプセルトイ専門店を展開したい、という事例が増えています。カプセルトイ専門店は空きテナントがあったから発展してきたと捉えられがちですが、そもそも顧客支持がないと発展はできない。出店を続けて、カプセルトイ自体に価値を感じる人が多いことがわかりました」