宿泊料金は1万3000円程度割高に

2023年の外国人旅行者の年間支出額のうち、品目別構成比率を見ると宿泊費が34.6%と高い。金額で1兆8289億円、2019年比で3割増加した。やはり、円安効果が働いているようだ。

※観光庁「訪日外国人消費動向調査」より
観光庁「訪日外国人消費動向調査」より

「ホテル代が高くなった」と嘆く日本人をよく見かけるようになったが、ドルは円に対して2019年比で1.3倍になっているわけであり、円の購買力が下がったのだから当然といえば当然である。

ホテル側からすれば、円ベースで強気の値段を提示しても、外国人観光客という宿泊者を見つけることができるのだ。しかも宿泊業界は、コロナ禍で徹底的に痛めつけられた。リベンジ消費ともいえる、この瞬間の消費を捉えて反転攻勢に転じなければならない。

宿泊業界の中でも好調なのが、星野リゾートだ。

星野リゾートは非上場企業で決算の詳細を公開していないが、同社の物件を複数所有する資産管理会社、星野リゾート・リート投資法人がJ-REITに上場している。同社が保有する星野リゾートの物件の2023年度のRevPARは4万1996円。2019年度は3万4028円だった。23.4%増加している。

※星野リゾート・アセットマネジメント「決算説明資料」より
星野リゾート・アセットマネジメント「決算説明資料」より

RevPARとは、販売可能な客室1室あたりの収益を表す値のことだ。よく耳にする客室稼働率は、部屋の稼働のみに注目するが、RevPARは稼働率に客室単価を加味したもの。収益物件という観点から見ると、RevPARの方が重要度は高い。

実は星野リゾートの物件の客室稼働率は下がっている。2023年度は77.6%で、2019年度は83.3%だった。すなわち、単価増で減少分を補っているのだ。客室単価は4万834円から、5万4104円まで上がっている。実に1万3000円程度高くなっているのだ。