「再犯に繋がるのだけは避けてほしい」

新橋駅では「それよりも暴行や暴言を吐いてしまう刑務官への対処が必要なのではないか」との声もあった。40代の男性は言う。

「そういう刑務官は、相手を力ずくで支配しようとしているんだと思います。だから刑務官の心理面や環境の改善に力を入れたほうが再発防止対策に繋がると思います」

新橋でインタビューに応じてくれた男性(撮影/集英社オンライン)
新橋でインタビューに応じてくれた男性(撮影/集英社オンライン)

一方で、一緒にいた40代の同僚男性は「安直な対策ではないか」と「さん付け」命令に首をかしげる。

「人権は尊重されるべきですけど、『さん付け』が人権尊重と刑務官の暴行の対策に繋がるとは思えない。じゃあ会社や学校でも『さん付け』にしたからってパワハラや虐待が減るのかって話で、そんな簡単なことじゃないでしょう」

巣鴨の商店街で買い物をしていた60代女性は「再犯に繋がるのだけは避けてほしいわね」と言う。

「『さん付け』くらい別にいいけど、これを皮切りに囚人の環境がどんどんよくなるのは……。再犯者が『刑務所は正直、住みやすい』なんて言ってるニュースを見たことがあるけど、刑務官からの対応も悪くなくて、住みやすいとなると、再犯してでも戻りたくなっちゃう人もいるかもしれないよね」

巣鴨でインタビューに応じてくれた男性(撮影/集英社オンライン)
巣鴨でインタビューに応じてくれた男性(撮影/集英社オンライン)

一緒にいた70代の男性も続ける。

「昭和の時代は、そもそも悪いことして入ったんだから刑務所の中でひどい扱いを受けようが仕方がないって感覚だったでしょう。

『さん付け』で呼ばれて寝食する場も用意されて、言われた作業をこなせばいい暮らしって、趣味もない独り身にしてみたら暮らしやすく感じてしまうかもね。わざと刑務所に入ろうとする人がでなきゃいいけど」