ネス湖の怪獣「ネッシー」探しを本気で検討していた環境省
情報公開法によって、根拠に基づかない行動や奇妙な振る舞いも明るみに出た。2006年、『サンデー・タイムズ』紙の記者たちは、1970年代にネス湖の怪獣「ネッシー」の真実を突き止めようと固く決意した環境省職員たちの通信記録を入手した。
「この湖に住むとされる伝説の怪獣が発見されれば、観光業に有益となる」という意見を聞き入れた同省職員の一人は、「カメラとストロボ照明を装着したイルカに、湖の深いところでネッシーの形跡を探させるため、バンドウイルカ2頭の調達を検討している」と、スコットランド家庭・保健省に通知するほど熱を入れていた。
もう少し現実的な例では、元首相のゴードン・ブラウンが、 2015年に国会議員を引退する前にボールペンの替え芯代として732ポンド(約13万5400円)も散財して、それを経費に計上していたことが情報公開法によって判明した。しかも、どのボールペンの替え芯で(クロスのボールペン用のポーラス芯だった)、何本購入されたのかまで明らかにされた。
開示請求によって手に入れられる情報の細かさは、じつに驚くべきものだ。それに、ある意味で覗き見的な感じもする。そのため、公的機関の職員たちは、すべての業務について「情報公開法の対象になってもいい」ようにするための作業基準を、早い段階から取り入れていた。要は、自分の仕事内容が公になってもまったく問題ないかどうかを、常に自問自答するということだ。