派閥に足並み揃え、所属議員は一気に収支報告書を修正
実はこの怪文書が出回った1月31日、永田町では大きな動きがあった。この日、政治資金制度を所管する総務省に、自民党の「清和政策研究会」、つまり裏金事件が直撃している「安倍派」が過去3年分(2020~22年)の修正申告を行ったのだ。
これにより、これまで収支報告書に記載していなかった議員へのキックバック分が明らかになり、安倍派に所属する各議員も一斉に自身の収支報告書を修正。具体的な裏金の額が一気に明るみに出たことが、怪文書拡散の背景にあったようだ。
安倍派については、すでに政治団体としての解散をする方針を決めており、2月1日には自民党本部で最後の総会を開催。これに先立って所属議員が派閥の動きに足並みを合わせて収支報告書の修正に動いた格好だが、永田町を取材現場とする記者たちからはこんなブーイングも漏れていた。
「安倍派の所属議員のなかには、政治資金について沈黙を貫いた議員が少なくなかった。『派閥の指示があった』といち早く明かした宮沢博行衆院議員のような例外もありましたが、所属議員の多くは取材に対してダンマリを決め込んでいた。
そのために記者たちは総務省に出された収支報告書を手がかりにして各事務所に問い合わせるしかなく、タイトな時間での作業を強いられました。
なかには事前に『キックバックはないかもしれない』とシロをアピールしながらも、多額のキックバックを受けていたケースもあった。国会では『政治とカネ』についての野党からの追及を受けていますが、本当に反省しているのかと問いたくなりましたよ」(前出の政治部記者)