炎上したJAL516便に搭乗していた、現役女子大生の吉沢明子さん(仮名)は、集英社オンラインが1月9日に報じた#2にて「JALへの文句は一切ない。クルーには感謝しかない」と述べていたが、その後どうしているのだろうか。
「JALからは1月5日に『1人につき見舞金10万円と預け荷物の弁済金10万円の計20万円を支払うほか、なくなった物も具体的に申告してもらい、額を算出する』と連絡がきました。
その後、サポート担当者から『まず先に、20万円を支払ったほうがよいか、それとも(時間はかかるが)算出した弁償金を合算してから支払ったほうがよいか』と聞かれました。私はパソコンを早めに再購入したかったため、その旨を伝えたら、1月19日に入金されました」
パソコンが手元にない間は学校からのレンタル品を代用していたが、支払われた20万円で無事に新品のパソコンも購入できたという。しかし事故後に思わぬ心の揺れに見舞われ「戸惑った」とも言う。
「実は1月の中旬に友達とお台場に遊びに行くときに乗った『ゆりかもめ』で、ふと窓から見える高所からの景色にゾワっと感じてしまったんです。『また事故に遭ったらどうしよう』と一瞬、身構えました。無意識ながら突然、襲われた感覚だったので自分でも驚きました」
だからといって「あんな事故に遭わなければこんな気持ちになることはなかったのに」といった“後悔”はないという。
「ただ、事故前のように『自分は絶対に事故に巻き込まれて死ぬことはない』という変な過信は持たなくなりました。今回の一件はいつ何時なにが起こるかわからないからこそ、その時々で『冷静な判断ができるようにしていこう』と思えたきっかけとなった出来事でした。
あのような命に関わる事故に遭遇することはそうそうない体験。友達からも『滅多にない体験だったね』と言われました。もともと、ビビリだった私は、むしろ度胸がついたと思っています」
こうした吉沢さんのような、高所での思いがけない“心の揺れ”は大いにあり得るとうなずきながら「乗務員たちのメンタルも心配だ」と話すのは、JALの元乗務員のAさんだ。
「JAL516便に乗り組んでいた9名の乗務員のうち3名は入社2年ほどの新人だったようで、あらゆる訓練を終えたとはいえ、まだ経験も浅かったはず。煙とともにに炎が迫るなか、仲間と必死に声をかけ合って開けてはいけないドアの開放を急場で判断し、乗客を安全に誘導するのはどれだけ怖かっただろうと想像すると、涙が出るほどです」