派閥解散の流れをつくった岸田首相の真意は?

「岸田首相は焦っている」

ある自民党関係者は、最近の岸田首相の動きについて、このように評価した。岸田首相と言えば、1月18日に自身が率いてきた宏池会(岸田派)の解散を検討していることを真っ先に表明し、世間を驚かせた。

「裏金問題で矢面に立たされた安倍派は、安倍晋三氏亡き後、リーダー不在の状況で幹部たちの信頼も地に落ち、放っておいても解散していく流れができあがっていた。にもかかわらず、急に岸田派解散を明言してダメ押しをしたのは、首相が自民党の全派閥を解散させる流れを作りたかったからだ」(自民党関係者)

実際に、岸田首相は派閥存続派の麻生太郎副総裁や茂木敏充幹事長には一切相談せずに自派閥の解散に言及している。

「派閥解消で自民党を“浄化した”と見せかけることによって、衆議院解散を打つ道筋を作りたかったのだろう」と関係者は語る。

結局、岸田派と安倍派、二階派、森山派は雪崩を打ったように解散したわけだが、茂木派と麻生派は政策集団として存続する中途半端な結果になった。ただ、残った両派からは派閥離脱者も出ており、自民党内政局はかなり流動的になっている。

岸田文雄首相(本人Facebookより)
岸田文雄首相(本人Facebookより)
すべての画像を見る

こうしたなかで焦点になるのが、実際に岸田首相が衆議院の解散に踏み切るかどうかだ。

岸田政権の内閣支持率は今も低迷状態が続き、時事通信が1月に実施した世論調査では、自民党の政党支持率が14.6%となり、同社が1960年6月に調査を開始して以降、野党だった期間を除いて過去最低を記録した。

現在の状態が続けば、9月の自民党総裁選で「岸田おろし」が起きる可能性もある。しかも、多くの派閥が解散をしてしまっただけに、その流れを作った岸田首相を麻生派や茂木派が支えてくれるとも限らない。

このように先の読めない政局のなかで総裁選に臨むよりも、先に衆議院を解散して選挙をしてしまったほうが、岸田首相にとっては再選できる可能性が高くなるという打算もあるだろう。