雑談からアイディアが
生まれるという噓
ところが、リモートワークの継続を願わない人がいる。新型コロナウイルスの感染者数が減ったわけでもなかったのに、会社として原則出社に戻すという動きが出てきたのは早かった。しかし、元の仕事環境に戻ることを皆が喜んでいるのかといえばそうではないだろう。リモートワークの利便性を一度経験してしまうと、従前の働き方に戻るのは難しい。
リモートワークの導入で自宅で仕事ができるようになり、仕事の合間に洗濯物を干していたら、何と人間的な生活をしているかと思ったという人がいた。リモートワークではなく出社することを求める会社は、部下から人間らしい生活を奪おうとしているのである。
原則出社に戻したい上司にもそれなりの理由がある。仕事は対面でないとできないと考えるのである。仕事それ自体は自宅でできないわけではないが、顔を合わせてする無駄話からよいアイディアが浮かぶという人もいる。
いずれも本当ではない。リモートワークができる仕事であれば、対面しなくてもできる。「顔を合わせてする雑談からよいアイディアが浮かぶ」という人は、本当にただ雑談をしているのである。
多くのよいアイディアは一人の時に思い浮かぶ。誰かと話をしていたにもかかわらず、よいアイディアが思い浮かぶというのが本当である。よいアイディアが思い浮かばない時は、何をしても浮かばない。よいアイディアが浮かばない人が、対面での雑談がないことにその理由を求めているだけである。