リモートで関係を
作れない人は会っても同じ

リモートワークを認めない上司の言い分「対面でないと伝わらない」「アイデアは雑談から生まれる」「信頼関係が築けない」が間違っている理由_3

リモートワークでは人と関係を築けないという人もいる。対面でないとコミュニケーションが取れない、対面の会議でないと信頼関係を構築できないという。しかし、対面していない時、離れている時に関係を築けない人は、実際に会ってもコミュニケーションは取れず、よい関係を築けないといっても過言ではない。信頼されない上司は会ったら余計に信頼されないかもしれない。

とにかく、会えば何とかなると思うのは、相手の愛を確信できない恋人のようだ。愛し合っている二人はいつも一緒にいたいと願うだろうが、離れていても寂しくない。関係がこじれてしまった時、電話では埒が明かない、とにかく直接会って話をしようという。しかし、会ったからといって関係が改善するわけではない。

外国語で電話をするのは苦手だという人は、顔が見えないからうまく話せないというが、外国語の力が足りないだけで、実際に会っても話すのは難しい。母語でも話すのは難しく、対面しても相手が理解できるように論理的に話せるわけではない。

私は長くカウンセリングをしてきた。カウンセリングでは、表情、動作、姿勢、声の調子などが、クライエント(来談者)について理解するために有用であることは知っている。しかし、言葉だけではコミュニケーションが取れないというのは本当ではない。言葉だけでカウンセリングができないとすれば、カウンセラーが無能だからである。