土方歳三にはNo.2のロマンがある
──もともと原作の『ゴールデンカムイ』はご存知でしたか?
舘ひろし(以下同) 全然知らなかったです、ごめんなさい(笑)。オファーをいただいてから原作を読んだんですが、土方歳三が生きていたっていう設定がすごくおもしろいと思った。だから僕が演じることができてラッキーだったと感じます。
──新撰組の土方歳三は、常々演じてみたいと思っていた役だったとか。
彼にはNo.2のロマンがあるんですよね。トップに立つ人は清濁併せ呑む部分があるけれど、土方はカミソリのように「いいものはいい、ダメなものはダメ」と厳しく新撰組をまとめていた人。最後まで戦うことにすべてを賭けていたような気がするんですね。もともと武士の出じゃないからこそ、武士としてのロマンを求めたんじゃないかな。
──『ゴールデンカムイ』では、約30年前に戊辰戦争で戦死したとされていた土方が生きていた設定で、70代前半とは思えない、高い身体能力と精神力を持つ「鬼の副長」の姿が描かれます。
彼の根本は新撰組にあると思うので、『ゴールデンカムイ』で描かれる土方はそこに根付いていると思うんですね。だから漫画ならではの設定とはいえ、僕がもともと抱いていたイメージと変えずに演じました。
──ビジュアルの再現度も見事でした。初めて土方になった姿を見た感想は?
眉毛の角度ひとつとってもすごく気にしてくださる優秀なメイクの方がついてくれたので、僕はもうお任せするだけでした。
撮影の初日は2022年の12月だったんですが、僕はちょっと病気をしてましてね。痩せていた時期だったんですよ。監督はそのときのビジュアルをお気に召したらしく、「そのまま太らないでくれ」と言われたんだけどさ(笑)。それは体力的に無理だった。ただ映像を見てみると、痩せている分すごく迫力がありましたね。
──馬に乗りながら銃を撃つなど、アクロバティックなシーンも見応えがありました。
久しぶりに馬に乗ることができてうれしかったです。馬が立ち上がるシーンは自分じゃできないんでCGですけど(笑)。