山﨑賢人とは芝居の話はなくてバイク話ばかり

──主人公の杉元佐一役を演じた山﨑賢人さんとの共演はいかがでしたか?

山﨑くんの素晴らしいところはね、お芝居の話を一切しないところ。僕は石原プロに入ったとき、石原裕次郎さんや渡哲也さんと一切芝居の話をしませんでした。そういうふうに育ったんですよ。だから芝居の話をされる方がいると疲れちゃうんですよね。

山﨑くんとは撮影の合間にふたりでずっとバイクの話をしてました。彼から改造したバイクの写真を見せてもらったり。「昔僕らが乗っていたバイクとはちょっと形が違うな」とか、そんな話ばかりしてましたね。

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──お芝居について刺激を受けたことは?

山﨑くんのお芝居の素晴らしさは、決めるところはきちっと決めるのにすごくナチュラルなこと。そういう芝居ができる人ってなかなかいないんですよ。どうしても押しつけがましい芝居になってしまう。

そもそも若いってだけで素晴らしいですしね。見ていてすごいと感じることは多いし、若い俳優さんからはいろんな刺激を受けます。

──とはいえ、「若い人にはまだまだ負けない」と思うこともあるのでは?

いい加減なところくらいかな(笑)。いや、もう若い人にはやっぱり勝てないですよ。僕は監督のおっしゃる通りに「はいはい」とやっているだけ。お芝居に関してはずっと自信のないまま今まで来ちゃった。だから人の芝居を見てすごいなって感じちゃったりする。

──にわかには信じ難いです。

いや、信じてちょうだい(笑)。情けないでしょ。まったく進歩してないんだから。

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──ご自身に求めるレベルが高いのでしょうか。

全然高くないですよ。NGを出さないように、みなさんにご迷惑にならないようにお芝居をするということだけです。