「増税メガネ」「パー券問題」で支持率は低下の一途

岸田政権のイメージ悪化に大きな影響を与えたのは、やはり「増税メガネ」というあだ名だろう。
異次元の少子化対策の財源として、社会保険料から国民1人あたり月500円の負担増が検討され、10月からはインボイス制度も始まった。官邸周辺によると、岸田首相は「俺は増税なんてやっていない」と周囲にぼやいたというが、今後は税率を上げずとも国民負担が増える「ステルス増税」が待っている。

そもそも、岸田首相は2022年末に防衛費の大幅な増額に伴い、法人税、復興所得税、たばこ税を増税する方針を決定。一方で、増税を開始する時期は未だに決めておらず、この先送りが岸田首相に「いつか増税する」というイメージを定着させたといえる。12月12日に発表された今年の漢字が「税」となったことも記憶に新しい。

今年8月末ごろから「増税メガネ」のあだ名が世間的に定着(本人Facebookより)
今年8月末ごろから「増税メガネ」のあだ名が世間的に定着(本人Facebookより)

そんな岸田首相が名誉挽回を期して11月2日の記者会見で発表したのが、所得税や住民税の国民1人あたり4万円の減税。だが、これによって増税イメージを払拭する狙いは大きく外れてしまった。
減税をするには税制改正をする必要があることから、国民が恩恵を受けられるタイミングが来年6月となり、現在の物価高に対応するための対策にまったくなっていなかったのだ。

同時に、低所得者世帯に対しては1世帯10万円の給付金を年内から配り始めると決定したため、ネット上では「働いたら負け」というスラングとともに批判が高まり、経済的には国民にとってプラスとなる政策であるにもかかわらず、支持率は下落を続けた。
11月のNHK世論調査では支持率は3割を切り、29%となっている。

そして、最後に追い打ちをかけたのが、自民党の派閥で行われていた裏金問題だ。
特に安倍派では、各議員が政治資金パーティー券を、ノルマを超えて販売した分を、収支報告書などに記載せず、キックバックして裏金化していたことが判明。
事態を重く見た首相は国会閉会直後に、内閣から安倍派の大臣や副大臣を全員外す人事を断行した。