長男の「殺すぞ」頻繁に

逮捕された男は千葉県船橋市高野台にある4階建ての集合住宅の2階に住む無職・古谷隆信容疑者(76)。8月3日午後1時1分ごろ、古谷容疑者から「長男を包丁で刺した」と110番通報があった。

千葉県船橋東警察署の署員が現場に急行。長男が自宅内で血を流して倒れており、古谷容疑者が包丁を所持していたことから、殺人未遂の疑いで現行犯逮捕した。

登記簿謄本によれば、古谷容疑者は集合住宅の一室である約70平方メートルの部屋を1991年に購入していた。

古谷隆信容疑者のマンション(写真/集英社オンライン)
古谷隆信容疑者のマンション(写真/集英社オンライン)
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船橋東警察署によると、「同居していた2人が口論になり、座っていた長男を背後から自宅にあった刃渡り約15センチメートルの包丁で複数回刺した」という。長男は重傷で意識不明の状態で病院に搬送されたものの、意識は次第に回復し、現在は命に別条はないという。

調べに対して、古谷容疑者は容疑を認めており、「長男からの暴力に耐えられなくなった」と捜査員に話しているという。

警察関係者は「古谷容疑者が長男から日常的に暴力を受けていたと見ており、送検時の殴られた(ような、目の)アザは長男によるものだった可能性が高い」と話す。今後、長男から古谷容疑者への暴力についても事情を聞き、(長男の)立件も視野に入れているという。

写真はイメージです (PhotoAC)
写真はイメージです (PhotoAC)

事件当日の様子を、同じ集合住宅に住む50代女性がこう語った。

「午前10時ごろ、玄関のドアから外に出て用事を済ませにいこうと外出をしたところでした。『てめえ!』という大きな声が聞こえてきたのです。

いつものように長男がまた怒鳴っているんだろうかと思ったので、通報はしませんでした。午後2時ごろ、アパートに帰ってきてみると規制線が張られていて、ご近所さんに聞いたら『古谷さんが長男を刺してしまった』と聞いた」

複数の住民によれば、古谷容疑者は少なくともここ10年ほどは妻と長男の3人で暮らしていたという。古谷容疑者と長男の関係が悪いことはこの集合住宅では有名だった。母は3〜4年前に体調を悪くして、介護サービスを受けていたという。

そのころから、長男が古谷容疑者に対して「殺すぞ」「てめえ!」などと叫ぶ声が聞こえるようになったと話す。

前出の50代女性が続けた。

「ケンカしているのか、一方的にキレているのかわからないけれども、怒鳴り声は週2回くらい。夕方から夜にかけてがほとんどでした。長男が叫んでいる一方で、古谷さんの声はまったく聞いていません。

私もその大声を初めて聞いたときは、通報したほうがいいのかなと思いました。でも、助けてなどとは聞こえていないから、大丈夫かなと判断しました。それ以降、長男の声を聞くたびに『またいつものか』と思って聞き流していましたね。長男はいつも家にいたし、仕事をしていなかったんじゃないかな」

そして、古谷容疑者のことについて、「ここ数年は見たことがないの。家にこもっていたのかな。だからニュースで見た父の顔があんなにアザだらけになっていることは知らなかった」と明かした。