「竹千代を引き継がせてほしい」

こうして「竹千代」の閉店が決まり、10月30日にX(旧Twitter)上にて閉店が発表された。ラーメン業界に激震が走る中、11月20日、加藤さんからDMが届いた。

「どうしても竹千代を引き継ぎたいという人がいて現在交渉中です。もしかしたら12月からオーナーが代わって営業するかもです。いろいろお騒がせしておりすみません」

ある日、郵便ポストに、「竹千代を引き継がせてほしい」という手紙が2回送られてきたのだという。その方は隣にある中華料理屋の女将さんの知人で、近所に住んでいて、「竹千代」に何度も訪れていた方だった。

閉店直前の出来事に加藤さんは戸惑ったが、食材とレシピをすべて引き継いでもらうことで、「竹千代」は二代目にバトンタッチすることになった。

「もう食べられない」と思った加藤さんのラーメンは二代目に引き継がれることに
「もう食べられない」と思った加藤さんのラーメンは二代目に引き継がれることに

「お店を続けることがいかに大変かはわかっているつもりなので、複雑な気持ちでした。『本当にやるの?』と何度も聞きました。でも、閉店までずっとこだわり抜いてきた一杯です。引き継いでもらえたことは本当にありがたいと思っています」(加藤さん)

突然訪れた「竹千代」継続の発表。閉店から8日目、12月8日から新星「竹千代」がスタートした。

加藤さんは「竹千代」の入っているビルのオーナーでもある。これからは二代目の紡ぐ「竹千代」の第二章を静かに見守っていく。

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取材・撮影・文/井手隊長