#1 「外食は福寿しかなかった」電気グルーヴ・石野卓球が惜しむ老舗ラーメン店の閉店はこちらから
「頼むから金を払わせてくれ!」
――卓球さんがここ数年『福寿』に行っていて印象的だったことはありますか?
ここ何年かは小林さん(「福寿」の店主)との付き合いも長いし、手ぶらでいけないなって。いつも小林さんが店を閉めた後に、店内を掃除してるんですけど、その時に棒アイスを食べながらやってる印象があったんですよ。たぶん厨房が暑いからでしょうね。あの、小林さんがいうところの「原始炉」、原始的な炉がね(笑)
だから毎回、箱に入った棒アイスを手土産にして持っていってたんですけど、最後の方はもう、お金を取ってくれないんですよ。で、こっちも「頼むから金を払わせてくれ!」っていう。でも、「いいからいいから。払ったら怒るよ!」とまで言われて、そういうやり取りがあったもんだから、せめてアイスをっていうね。物々交換。ラーメンとアイスの。
――小林さんとはいつもどんな会話をされていたんですか?
瀧が、ある時、久しぶりに一緒に「福寿」に行った時に「お前が小林さんと話が合うのわかるわ」って言ってて。あの適当ぶりとはぐらかしぶり。「嘘」じゃなくて「ホラ」っていう。そんな話しかしてなくて。そこがいいですよね。でもあのやり取りがなくなっちゃうともう、ちょっと寂しいですよね。