小粒なM&Aに留まるアップル
マイクロソフトと比較して投資が消極的な点も気がかりだ。
2023年10月にアメリカのゲーム会社アクティビジョン・ブリザードがマイクロソフトの子会社になった。マイクロソフトはこのM&Aに10兆円という途方もない額を投じている。また、マイクロソフトはChatGPTのオープンAIに1.3兆円を投じるとも報じられている。イノベーションを起こしづらくなった企業は、M&Aを成長エンジンにするケースが多い。グーグルの親会社のアルファベットもM&Aには積極的だ。
アップルも買収や出資を行っているものの、2020年に入ってからのM&Aへの投資額は100億円~200億円程度。回数も多くない。アップルの企業規模に比べると小粒な印象は否めない。
電気自動車で覇権を握っていたテスラが、中国の世界最大級のEVメーカー・BYDに足元をすくわれている。今の状況を見ると、アップルが主力のアメリカ市場でサムスンやアルファベットにシェア奪われる事態が起こっても、決しておかしくはないだろう。
取材・文/不破聡