折り畳み型のiPhoneを開発中か?

アップルは2017年に発売したiPhoneXの上位機種に有機ELを採用した。当時、サムスンは画面を押すとくぼみができるような弾力性のあるディスプレイの開発に成功しており、展示会でも実物を発表していた。

iPhoneX 写真/Shutterstock
iPhoneX 写真/Shutterstock

それだけに、iPhoneへの有機ELの採用は、これまでのスマートフォンの常識を覆す製品を期待する声が強かった。しかし、デビューしたのは従来の板状のiPhoneだった。サムスンは2019年に2つ折りのGalaxyを販売しているが、これは先駆者のアップルが先に世に送り出してもおかしくはなかったはずだ。

通常、革新的な製品を生み出すには、自社で研究開発を行うか、他社から提供を受けるか、他社と共同で開発する必要がある。

サプライチェーンの構築に注力してきたアップルは、自社で革新的な製品を生み出す力を失っていた。アップルが有機ELの自社開発拠点を設立し、内製化したディスプレイに製品の一部を切り替えるのは2024年からだ。開発が完全に後手に回っている。

有機ELに切り替えた当時、アップルは供給元をサムスン1社に絞り込んだことで交渉力を失い、従来型のデザインに収めざるを得なかった可能性もある。開発、交渉の両面で手詰まりになったのだ。

また、アップルとサムスンは特許訴訟を行っていた経緯があり、共同開発という道がとりづらかった。和解したのは2018年に入ってからだ。

2023年7月にサムスンの子会社の幹部が、アップルと協力して折り畳み式のディスプレイを開発しているとリークして話題になった。折り畳み式iPhoneの真偽は不明だが、こうした情報がサプライチェーンの1社から出てしまうほど、アップルの力が弱まっているということだろう。