マザーテレサの著書を読んで「平和に目覚めた」土岐被告
土岐被告は秋田の出身で、遺棄現場の土地も土岐被告が2021年12月に購入していたものだ。このあたりの経緯は♯2に詳しい。秋田の短大時代にマザーテレサの著書を読んで「平和に目覚めた」として長崎に移住、離島で診療所に就職したり、さまざまなボランティア活動に従事した土岐被告は、紆余曲折のうちに井上被告と結婚、凶悪事件の片棒を担ぐまで転落した。
しかし、その残虐な二面性は小学校当時から萌芽しており(♯4に詳述)、その壮絶な「イジメ」の被害にあった女性はこう証言していた。
「土岐が私の通っていた小学校の同じクラスに転校してきたのは、4年生の終わりごろでした。転校初日なのに物怖じせず大きい声でしゃべり、クラスの中心的な人たちとすぐに仲良くなって、派手な女の子たち6人組でよくつるんでいました。
5年生になると私の名前をかたっていろんな男子宛にラブレターが届くようになり、他のクラスにまで出回るようになりました。それが何度も続くようになって、一時期問題になったことがありました。当然、それは私が書いたものではなく、筆跡は明らかに土岐のものでした。
この件については本人はヘラヘラ笑いながら“自白”したものの、担任の高齢女性教師は何も対応してくれませんでした。先生は当時、土岐のグループに『クソババア』『息が臭い』とかなじられていたのでなるべく逆らわないようにしていたんです。
私へのイジメはそれからエスカレートして、ランドセルと習字道具がロッカーに瞬間接着剤で貼り付けられてしまったり、プールの授業前に土岐たちに教室の真ん中で羽交い締めにされて、男子もいる前で服を剥ぎ取られたこともありました。給食の時間も地獄で、土岐のグループの残飯をトイレで無理やり食べさせられてました」
この女性の証言は、苦しむAさんを死ぬまで放置した土岐被告の残忍さを彷彿とさせるようでもある。
土岐被告の住んでいたさいたま市のアパートに住む70代男性は、再逮捕時のスマイル画像を見ながらこう嘆息した。
「ふだんもこんな風に笑うんだけど、なんでこんな笑顔で……ほんとになぁ、優しい子だったのに……。今思い返してもあんなニュースになるようなことする子には思えなかったんだけどね……。いつもニコニコしていてハキハキしゃべってた」
死体遺棄容疑での逮捕から6カ月が過ぎた。冷たい塀のなかで、シャブ中の元ヤクザとその元妻は何を思うのか…。
※「集英社オンライン」では、今回の事件や学校・職場でおきたイジメ事件について取材をしており、情報を募集しています。下記のメールアドレスかTwitterまで情報をお寄せ下さい。
メールアドレス:
shueisha.online.news@gmail.com
Twitter
@shuon_news
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班