〈秋田コンクリートづめ女性遺体〉元暴力団員ら5人逮捕。「スコップを持って男女4、5人が林に入っていった」…逮捕された元暴力団員の妻は当初、記者の直撃に…
短大時代にマザー・テレサの著書を読んで「平和に目覚めた」
調べでは、5人は共謀して2021年6月から9月ごろにかけて、秋田市金足下刈の雑木林に、木箱に押し込んだA子さんの遺体を遺棄した疑い。死後1〜2年とみられる遺体はコンクリートづめになっており、死因はわからなかった。遺棄現場の土地は同年12月に売買され、土岐容疑者が購入していた。
遺棄現場の南約10キロ地点の実家で生まれ育った土岐容疑者は、地元の短大で管理栄養士の資格を取り、卒業。短大時代にマザー・テレサの著書を読んで「平和に目覚めた」という理由で長崎に居を移し、離島の五島市で診療所に就職。その後もさまざまな場面でボランティア活動に没頭した。その様子は当時、頻繁に地元紙や全国紙の地方版に掲載されていたほどだ。
2012年8月8日の長崎新聞朝刊にはこんな記事が掲載された。
<被爆者の高齢化が進む中、被爆体験を語り継ぐ市民を育てようと国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館(長崎市平野町)は4月から「被爆体験記朗読ボランティア育成講座」を始めている。8月9日を前に、受講生の一人で秋田県出身の土岐菜夏さん(24)=長崎市=は「いつか講座を修了し、朗読活動を始めたとき、戦争や原爆について考えてもらうきっかけをつくりたい」と語る。(略)短大での授業をきっかけに貧困や紛争問題に興味を持ったという土岐さん。22歳で紛争直後のスリランカを訪れ、弾痕の残る民家や地雷原を目の当たりにした。帰国して数日後、東日本大震災が発生。見知った三陸海岸の風景は無残に変わり、福島は原発事故に伴う不安が覆う。「平和幻想がはがれ落ちた気がした」
今年4月、被爆者が暮らす長崎市で、栄養士として病院に就職。育成講座の受講も決めた。戦争や核被害について、もっと真剣に考えたいと思ったからだ。
病院や平和公園で10人以上の被爆者から話を聞いた。そして気づいた。被爆したことによるいじめや差別、子どもの健康不安-。そんな心の痛みが、体験記に全て記されているわけではないということを。「痛みの全てを理解することはできない。けれど被爆者がいる限り、分かろうとする試みは続けたい」と話す>
記事を一読するかぎり、平和をこよなく愛する女性にしか見えない彼女が、なぜ元暴力団員と結婚し、死体遺棄事件に主体的に関わるようになってしまったのか。