半年以上ネットカフェにいた
事件は5月27日の早朝、一部炭化している乳児の遺体を見つけた釣り人の通報で発覚した。司法解剖の結果によると、死産であった可能性は低く、顔や体の一部が燃やされていたという。
遺体の発見時、現場からは煙があがり、火はまだくすぶった状態だった。地元の釣り人は事件当時、こう証言した。
「釣り人が冬場とかの寒い時期に、流木やらを小さく燃やして暖をとることを”野焼き”というのですが、事件のあった27日はそんなに寒くなかったし、野焼きにしてはやたら大きい火だったので違和感はありました。白い煙も少しファーっと上がっていて、野焼きの残り火でボヤにでもなったのかなと思ってたんです」
6月2日、死体損壊と死体遺棄の疑いで逮捕されたのは、同市に隣接する函南町生まれの住所不定、無職、浅沼かんな容疑者(当時24)と、乳児の父親の男性A(当時21)。Aは12月7日、不起訴となったが、浅沼容疑者は殺人や死体遺棄の疑いで起訴された。
浅沼被告は、高校卒業後すぐに結婚して娘を出産。しかし離婚を機に沼津市内で一人暮らしを始め、単身で生活の拠点を大阪に移してからはホスト遊びにハマって周囲に”金の無心”をしていた。これについては集英社オンラインが♯1、♯2、♯3、♯4で報じてきた。
借りた金は返さず、大阪にも居場所を失い、実家からも縁を切られた浅沼被告は、大阪時代の担当ホストだったAとともに、地元に近い沼津のネットカフェに居つくようになった。この店内の一室で赤ちゃんを産み、その2日後に海岸で火をつけたとみられている。
同店のスタッフが当時の様子を振り返りながら安堵の息を漏らす。
「2人がいた期間は半年以上とかなり長いのですが、私はレジ担当なので、5月にそういう事件があったと知ったときはバイトのみんなで『怖いね』と話していました。なかには『ここ(ネットカフェ)なくなるんじゃないの?』と心配してる子もいましたが、とくに客足に影響することはなく、今では誰も気にしている人はいません」