パーティー券を売った利益を裏金化?

派閥のパーティーにおいては、所属議員にはパーティー券の販売ノルマが課せられており、大臣経験者になると数百万円単位でパーティー券を売らなければならないと言われている。一方で、ノルマを超えて販売した分は議員にキックバックされ、その分は収支報告書に記載されず裏金化しているパターンがあるという。

本来ならキックバックするにしても、議員から一度派閥に全額を入れたうえで、各議員の政治団体に寄付という形で戻さなければならない。それが、もとより派閥に入れず収支報告書に記載しないことで、それらは使い道のわからないお金として闇に消えてしまうのだ。

その額は2018~2021年の4年間で約4000万円にものぼり、改めて政治資金の不透明さが浮き彫りになった形だ。

派閥ごとに見ると安倍派1900万円、二階派900万円、茂木派600万円、麻生派400万円、岸田派200万円となっている。しかもこれは、支出の報告義務があり、記録が確認できる政治団体が購入したパーティー券に限った金額で、報告義務がない個人や企業も含めると、不記載額はもっと膨れ上がるのではないかとも見られている。

この不記載については昨年11月に「しんぶん赤旗」が報じ、神戸学院大の上脇博之教授が政治資金規正法違反容疑で5派閥を告発していた。

“検察のエース”と呼ばれる森本宏最高検刑事部長(写真/共同通信社)
“検察のエース”と呼ばれる森本宏最高検刑事部長(写真/共同通信社)

一方で、当初この問題は大事にはならずに沈静化するとも見られていた。警察や検察が告発状を受理した場合、捜査をする義務が生じるため、派閥関係者に事情聴取などはするものの、最終的には政治団体の会計責任者を略式起訴するくらいでお茶を濁すのではないかと思われていたからだ。

しかし、検察が捜査を進めていくなかで永田町では「検察は本気なのではないか」という見方が広がってきている。というのも、検察では最高検刑事部長の森本宏氏が今回の事件について直々に指揮を執っているといわれているからだ。