「お父さんとお母さんのことになるとボロボロ泣きながら話すの」

渥美容疑者は別のカラオケ居酒屋にも週2回のペースで通い、自慢のノドを披露していたという。店主が語る。

「ウチに来るようになったのは2年前くらいからだったけど、彼は素直だったのもあって年上の人たちからかわいがられていたわね。カラオケは大好きで歌う時は20曲くらい歌うんだけど、コブクロ歌ったりさだまさしを歌ったり、女性ボーカルの歌も歌えるくらい高いキーで歌えたし、カラオケはとてもうまかった。ウチに来るときはほとんど男性同士、特に同年代の仕事の仲間が多かったわね」

「リョーマ」は堀容疑者を伴ってきたこともあったという。

「ウチのお客さんが『ホリ』という名前に聞き覚えがあって、少なくとも1度はリョーマと一緒に店に来ていたみたいね。そのお客さんが『堀』をウチの店で見かけたときはあそこまで痩せてなかったみたいで、報道の写真を見てげっそり痩せていて驚いたって。私もそれで思い出したんだけど、ウチに来たときは同世代の3人で、全員が敬語も使ってなかったから仕事仲間でも対等のように見えたけどね。女性とウチに来ることはなかったから18歳の彼女というのは見たことがなかったわね」

移送される堀容疑者
移送される堀容疑者

♯2で登場した義父(Bさんの父)にも見せていたように、この店でも「リョーマ」はたびたび正義感の強さを発揮していたようだ。

「リョーマは正義感が強いというか、マナーの悪いお客さんに『ママに謝れよ』と注意したり、ドアをバタンって思いっきり閉めて出て行ったお客さんを外まで追いかけて行くこともあった。殴り合ったのかどうかはわからないし、リョーマに『殴られた』っていうお客さんもいたけど、結局お店に二人して戻ってきて最後はお互い納得していたということもあった」

それに加え、早くに亡くした両親のことを思い出して涙にくれることもあったという。

「まだリョーマが小さいころに肝臓をやってしまったらしいけど、詳しくは聞いてないわね。お父さんとお母さんのことになるとボロボロ泣きながら話すの。私にとっては息子みたいだったし、事件に関してもリョーマがやったとはどうしても思えなくて……。こういった報道がある前からずっと心配していましたから。突然、パタッと店に来なくなったんで何度かLINEもしているの。6月28日に送ったときは『泊りで仕事来てるんで戻ったとき顔出します』って返事がきたんだけどね……」

渥美容疑者と店主のLINEのやりとり。周囲は渥美容疑者を心配していたという
渥美容疑者と店主のLINEのやりとり。周囲は渥美容疑者を心配していたという