売上が全盛期の半分ほどまで落ち込み「過去のバンド」扱いだったが…

20世紀最大のチャリティ・コンサートといわれるライヴエイド。数々の超大物ミュージシャンが集う中で、最高の評価を得たのはクイーンだった。

1985年当時、クイーンはレコードの売上が全盛期の半分ほどまで落ち込み、批評家たちから「過去のバンド」という烙印を押されていた。

その一方で各メンバーはソロ活動に力を入れており、メディアでは再三にわたって不仲説や解散説が取り沙汰されていた。

そんなクイーンにライヴエイドへのオファーをしたのが、主催者にしてアイルランドのバンド、ブームタウン・ラッツのボブ・ゲルドフ。

クイーン側はボブのことをほとんど知らず、しかもコンサートの全容も見えなかったということもあって、そのオファーを断った。しかし、クイーンのツアーについて回るというボブの熱心なアプローチによって、コンサートの主旨が伝わってクイーンは出演を承諾する。

そして1985年7月13日。ライヴエイドはイギリスやアメリカをはじめ、世界各地で同時開催された。

『Queen:1985年 運命の「ライヴ・エイド」(エピソード 30)』。Queen Officialより

アメリカのJFKスタジアムにはボブ・ディラン、ミック・ジャガー、キース・リチャーズ、エリック・クラプトン、ニール・ヤング、レッド・ツェッペリン、マドンナなど、錚々たる顔ぶれが揃った。

イギリスのウェンブリー・スタジアムにはポール・マッカートニー、ザ・フー、デヴィッド・ボウイ、エルトン・ジョン、フィル・コリンズ(アメリカでも出演)、スティングなど、こちらも負けず劣らずのミュージシャンが集まり、昼の12時からおよそ9時間に渡って次々とステージに登場した。

その模様は全世界(80ヶ国以上)に向けて衛星生中継され、およそ19億人が目撃したと言われている。