近づく総裁選で問われる自民党議員の姿勢
こうした「岸田おろし」の前触れとも取れる動きは今後大きくなっていくのか。それを占うのが安倍派の動向だ。
現在の岸田政権は、首相自ら率いる岸田派、茂木敏充幹事長が率いる茂木派、麻生太郎副総裁が率いる麻生派の三派連合によって成り立っている。
これらを突き崩し得るのは99人を抱える党内最大派閥である安倍派だが、その肝心の安倍派は安倍氏に代わる次のリーダーを決められず、未だに「安倍派」として集団指導体制を敷いており、派閥としての意思決定力は鈍い。
現在の中途半端な状態を脱却するためには、派閥としての方向性をしっかりと決める必要があるが、自民党関係者は「99人の大所帯を持つ安倍派が無理に方向性を決めようとしてしまえば、意見が割れて派閥が分裂してしまう可能性がある。そのため総裁選への対応は慎重にならざるをえない」と解説する。
しばらく安倍派は「岸田おろし」の動きについても静観の状態が続きそうだ。
しかし、来年9月に想定される自民党総裁選は着実に近づいてきている。総裁選に向けて「岸田おろし」の動きがこれから大きくなっていけば、衆議院の解散戦略にも影響を与えることになるだろう。
もし、岸田首相が総裁選前に解散を決断するとすれば、タイミングは来年1月の通常国会冒頭か、来年6月の国会終盤に絞られてきているが、いずれにせよ、選択の猶予はそれほど残されていない。
そして、判断を急かすかのように、報道各社の世論調査では支持率が下がり続けている。
このまま漫然と岸田政権を続けて、悠長に政局を見極めている場合なのか。自民党議員ひとりひとりの姿勢が世論から問われている。
取材・文/宮原健太
集英社オンライン編集部ニュース班