存在感を増しつつある菅義偉前首相
そんななか、自民党内では「岸田おろし」につながるような動きも出始めている。
15日には経済安全保障大臣の高市早苗衆院議員が、国力増強をテーマにした勉強会「『日本のチカラ』研究会」を発足し、初会合を開いた。
現職の閣僚が自身主宰の勉強会を立ち上げるのは異例で、来年9月に想定されている自民党総裁選で岸田首相に対抗する狙いがあると見られている。
しかし、この初会合に集まった国会議員はたった13人。総理総裁を目指す政治家としての求心力の弱さが浮き彫りになってしまった。
もともと高市氏は党内の名門派閥である清和会に所属していたが、当時は町村派だった2011年、翌年の総裁選で派閥会長の町村信孝氏ではなく、安倍晋三氏を応援するために派閥を離脱。
その後は無派閥で活動を続けているが、過去の経緯から清和会(現在の安倍派)とは溝がある。
これまで、その間を取り持っていたのが安倍晋三元首相であったわけだが、安倍氏が銃撃事件で亡くなって以降は後ろ盾を失い、今回の初会合ではそれが如実に表れたといえるだろう。
一方でメディアへの露出が増えて存在感を増しつつあるのが菅義偉前首相だ。
12日に出演した「日曜報道 THE PRIME」(フジテレビ系)では、インバウンド政策として江戸城再建計画が取り上げられ、「推進するためにはひとつの大きな方向性と世論をつくらないといけない」と語ったことが話題に。
また、15日に出演したインターネット番組「ABEMA Prime」では、岸田首相の経済対策について「国民になかなか届いていないのは、きちんと説明をする必要がある」と苦言を呈した。
番組で菅氏は自身の首相再登板については「ない」ときっぱり否定し、小泉進次郎元環境大臣について「(総理総裁の)道を歩んでいくようになると思う」と持ち上げたが、永田町では「来年の総裁選政局に絡んでいこうとしている意欲の表れだ」と囁かれている。