ボクサーでも芸術でも余技以上の「結果」を出す

1988年にはボクシングを始め、プロテストに合格。減量に成功したこともあって、俳優としてのオファーも増え、映画『異人たちとの夏』の演技で同年の国内映画賞を総なめ。

当時世間では意外な起用との声が多かったが、大林宣彦監督が「彼を無名時代に見たことがあったがエノケン、八波むと志の系譜と認識していた」と才能を認識した上での起用だったことを語っている。

さらには同年に、革製品などを自身のブランドで扱う雑貨店「鶴TARO」を渋谷にオープンした。

90年代には、棟方志功役を演じたことなどをきっかけとして絵を描くことに傾倒。その後は書の世界にもシフトしている。画集の出版や個展の開催にとどまらず、自身の名を冠した美術館や工藝館まで開いている。

ヨガに勤しむ片岡鶴太郎。果たしてこれは余技?

そして繰り返しだが、今彼の生活の中心はヨガである。

17時に寝て22時に起きて5時間ヨガという生活を繰り返し仙人のようになった片岡鶴太郎に、かつて『鶴ちゃんのプッツン5』(日本テレビ系列)や『上海紅鯨団が行く』(フジテレビ系列)などで軽妙なトークを繰り広げていた小太りの「鶴ちゃん」の面影はもはやない。

余技に傾倒し続ける片岡鶴太郎を揶揄する声は、この35年ずっとあった。
しかし、もうここまで来ると彼の本業がもともと何だったかなど気にする人はいない。

余技は「これは余技だよね」と周囲に感じさせるから余技なのであって、余技が本業を追い越していけばもうそれは本業である。そう認めざるを得ない。

片岡鶴太郎の本業はヨガ。もうそれでいい。