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ひきこもりの兄を持つ57歳男性「不妊治療をやめたら、1つ道が閉ざされた感じがした」家族にぶつけた怒りの矛先…突然の父親の死から向き合った初めての人間関係
新潟県長岡市出身の間野成さん(57)には30年以上ひきこもった兄がいる。兄のせいで交際相手に何度もフラれ、一時は「兄が死んだ方がいい」とまで思い詰めた。教師だった父親が原因で兄がひきこもったと思い、ずっと父親を憎んでいたが、あることをきっかけに気持ちが切り替わる。(前後編の後編)
ルポ〈ひきこもりからの脱出〉18
〈前編はこちらから〉
「俺が兄を背負えばいいんだろう」
間野さんが結婚したのは43歳のときだ。相手は4歳下の会社員女性。ひきこもる兄のことを打ち明けて、「経済的な負担が増えるかもしれない」と話しても、妻は「別にできる範囲のことしかできないし、私は気にしない」と言ってくれたのだという。
もともと子ども好きな間野さん。結婚してすぐに不妊治療を始めたが授からず、5年で貯金が尽きた。
大みそかに子どもをあきらめる決断をして、正月に2人で帰省。妻もいる前で10数年前にデザイナーとして独立した際に「郵便局を継げ」と言われた話を蒸し返し、ずっと消えなかった怒りを父親にぶつけた。