大きく報道された有名人の性加害事件

加害者家族は、メディアでもたびたび大きく取り上げられます。

2016年、有名女性俳優の長男である俳優が、宿泊先のホテルで従業員の女性に性的暴行を加えて怪我をさせたとして、強姦致傷の疑いで逮捕されました(のちに示談が成立し、不起訴)。

母親は息子が勾留されている警察署の前で報道陣の取材に応じ、「申し訳ございませんでした」と頭を下げ、その後、謝罪会見を行いました。その際、彼女はカメラの前で涙ながらに語りました。

「自分なりに精いっぱいやったつもりですが、このようなことになった以上、何もいえることではないと思っています。私の育て方が悪かったと思っています」
「(被害女性に対して)もし自分の娘だったら、と考えなければいけない(*1)」

写真はイメージです(以下同)
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この発言からは、「私の育て方が悪かったのではないか」と母親が自分を責め、社会からも責められている姿が浮かび上がります。また、息子に憤ると同時に、同じ女性として「(息子が)被害者にひどいことをした事実を受け入れられない」という感情も抱いています。

この報道を受け、女性俳優をCMに起用していた企業の一部は放映の差し止めを決定。それまでバラエティ番組にも引っ張りだこだった彼女の姿は、その後しばらくテレビから消えることになりました。

たしかに息子の逮捕は俳優である母親を連想させ、その母親を起用した企業イメージにも影響が及びます。また同様の被害に遭い、苦しんでいる人たちへの配慮とみなすこともできますが、「それでも事件を起こしたのは、母親ではなく息子だ」という点から、賛否両論が巻き起こりました。