2026年にも量産開始か

現地を取材した戦闘機に詳しいカメラマンの布留川司氏が熱く語ってくれた。

「昨年の10月の展示会ではメーカーのある泗川(サチョン)のテスト飛行場で地上展示されただけでした。ところが、今年は目の前で実機が初飛行をしただけに、インパクトがありました。今回飛行したのは6機の試作機のうち、もっとも新しい6号機(複座型)です。

同時に飛行したF-22ラプターやF-16ファイティング・ファルコンの派手な飛び方に比べると、KF-21は急旋回やロールなどの機動は見せたものの、まだ量産体制に入っていないこともあってやや無難な飛行だったと言えます。

ただ、軍関係者がほとんどで来場者がKF-21の飛行を冷静に見守っていたトレードデイと違い、一般来場者が中心のパブリックデーでは自国の国産機の名前がアナウンスされると会場から小さなどよめきが起きたり、飛行終了後に拍手喝采するシーンが見受けられました」

初めて展示飛行を行ったKF-21(撮影/布留川司)
初めて展示飛行を行ったKF-21(撮影/布留川司)

エンジン始動の際も圧縮空気と電源を供給する支援機材を使い、滑走する前も機体各部が正常に動くかどうかの確認をパイロットと地上整備員(KAIスタッフ)が入念に行っていたという。

布留川氏が続ける。

「スタッフによれば、その慎重さは『Under Development(開発中)』のためということでした。KF-21は昨年の7月に初飛行したばかりで現在6機で飛行試験や性能、不具合を確認しているところです。今後、2000回以上の飛行試験を行い、2026年中にブロックI(対空戦闘限定)、28年までにブロックII(マルチロール任務)の量産を始める予定です。

ブロックIIIとして『第5世代』戦闘機に不可欠な要素のステルス性を持つためには、レーダーに反射しないように兵装(ミサイル等)を機体胴体内部のウェポンベイに格納しなければなりません。その部分はブロックIとIIの機体の簡単な改修ですまない部分があるため、これから開発していき、それを目指すという段階です。

また、今回ステルス性とは別に、無人戦闘機との連携したシステムが発表(構想段階)され、独自の方法での現代戦への将来の対応方法が模索されているようです」