「宇宙超人委員会に辞表を出して世捨て人となりました」
バッファローマンの知られざる経歴は、超人中央図書館に所蔵されている「超人大百科」シリーズ中のブラックリストにひっそりと記されていた。
「バッファローマンはスペイン出身の超人で、かつての超人強度はウォーズマンやカナディアンマンと同じ100万パワーと、正義超人では最強クラスだったのですが、技やテクニックがダメで、超人格闘界では何の実績も残せていませんでした。無名だったのもそのためです。コンプレックスに苛まれながらも強さを渇望していた彼は、大魔王サタンと禁断の取引をしました。自分の血と体と魂を売り渡し、超人を一人殺害するごとに1万パワーを得るという身の毛もよだつ契約を交わしたのです」(同前)
このサタンとは、悪魔超人界に君臨する悪魔将軍とは別の存在で、神になり損ねた怨念の集合体であったため、なおさらタチが悪かった。
「次々と超人を倒していった結果、バッファローマンは1000万パワーに到達したわけですが、死んでいった1000 人もの超人の怨念を一身に背負うことにもなったのです。彼らの怨念はバッファローマンの肉体と一体化。死してなお、体表を自在に動く傷の一つとなって、バッファローマンのコントロール下にありました。こうした事実を知った委員長は身震いが止まらなくなったといい、同僚はショックのあまり寝込んでしまいました。最も精神的ダメージの大きかった私は、宇宙超人委員会に辞表を出して世捨て人となりました」(同前)
かくして無名の三流超人から悪魔超人に生まれ変わったバッファローマンは、規格外の強さを手に入れると同時に、超人強度を0から最大値まで自由に操作する器用さも身につけた。さらに、悲願でもあった数々のタイトルも獲得。その一方で、相手の命を奪うファイトスタイルが問題視され、6人の悪魔超人とともに超人ホイホイへと投獄されたのである。