雪山で見つかった身元不明の5人、胸にAの文字…
キン肉王政が先代の真弓大王だった頃。王家には、長男のキン肉アタル(キン肉マン ソルジャー)、次男のキン肉スグル(キン肉マン)という2人のプリンスがいた。だが、アタルの存在と失踪の事実は長らく秘匿されてきた。長男アタルとは、どんな人物なのか。
キン肉族に仕えるある付き人が眼鏡を光らせる。
「アタル殿下の素質は、あらゆる方面に抜きん出ています。まずは何と言っても、超人としての強さでしょう。超人強度は、弟のスグル大王を上回る108万パワー。火事場のクソ力を凌ぐ〝業火のクソ力〟も秘めています。さらに、スグル大王と同じく、王家でも放てる者があまりいない〝フェイス・フラッシュ〟を難なく使いこなせるのです」
アタルの強さを伝えるにあたって、最も分かりやすい例がある。運命の五王子として王位争奪戦に参加予定だった残虐チームの5人を、たった1人で撃破しているのだ。
それは、ちょっとした〝猟奇事件〟の現場だった。発見状況を報じた「テレビ超人ニュース」のレポーターが振り返る。
「現場は日本の富士山頂。王位争奪戦の知性チーム対残虐チーム戦の前夜、万年雪に覆われた場所で、複数の超人が倒れているとの通報があったのです。一撃で倒されたとみられる5人は全員、胸部が割け、『A』の文字に見える謎の傷跡が刻まれている状態でした。のちに、その文字は〝犯人〟の正体を示すサインになっていたことが分かるわけですが……」
発見時、身元不明だった超人たちの素性は、本物のキン肉マン ソルジャー(真ソルジャー)、ウールマン、ヘビー・メタル、ブルドーザーマン、ザ・ゴッドシャークと判明。
「残虐チームの5人は吹雪の中、本戦に備えて最終調整の野稽古をしていたようです。チームのメンバーは、4人が超人強度が72~80万程度の平凡な超人だった。とはいえ、残虐の神を宿した真ソルジャーは1億パワーの持ち主。犯人はそれを超える神にも勝る強さであることが窺えました」(同前)