いきなり照明ライトが落ち「停電か⁉」と声が上がったが…
「超人史上、稀にみる〝凶悪犯罪〟でした。ワタシらの目の前で、あろうことか幼い子どもが標的にされ、直視できないほどの危害が加えられたんですから」
そう振り返るのは、宇宙超人委員会のハラボテ・マッスル委員長だ。
「あれは忘れもしない、『超人オリンピック・ザ・ビッグファイト』が閉幕して数日後のことです。最初は目を疑いましたよ。宇宙に葬ったはずのアイツらが、なんでここにいるのかと。悪魔超人たちを率いて現れた当時のバッファローマンは、今じゃ考えられないほど極悪な人相をしていましてね……」
昭和56年8月、格闘技の聖地・後楽園ホールでは、正義超人有志による「ファン感謝デー」が開催されていた。主役はもちろん、超人オリンピック2連覇を達成したばかりのキン肉マン(本名、キン肉スグル)。かたわらではお目付け役のミートくん(本名、アレキサンドリア・ミートが、ファンを前に大はしゃぎする、キン肉星の王子でもある彼を温かく見守る。
会場には、盟友のテリーマン、先の超人オリンピックで激闘を繰り広げたウォーズマンのほか、のちにビッグ・ボンバーズを結成するカナディアンマン、スペシャルマンらの姿もあった。
そんな中、突如、館内が暗闇におおわれたのは、特設リング上でチビッ子たちと超人による風船割りゲームが盛り上がりをみせている最中のことだった。
愛妻を質屋に入れんばかりの覚悟で「ファン感」のプレミアチケットを入手し、この時、リングサイドの特等席にいた会社員のAさんが語る。
「いきなり照明ライトが落ちたので、あちこちから『停電か⁉』と声が上がっていました。すぐに明かりは復活したんですが、いつの間にか、リングを7、8人の超人が取り囲んでいたんです。みなドクロがついた不気味な黒マントを羽織っていて、顔はよく見えなかったんですけど、リング上にいたハラボテ委員長が『ゲェーッ、やつらは7人の悪魔超人…』と叫んだのを、僕は聞き逃しませんでした。キン肉マンは、この乱入を台本にないサプライズ演出と勘違いしたようで、得意げにそれを指摘しましたが、すぐに黒マントの1人に蹴り倒されました」
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