立派なリーダーがアホを集める?
立派なリーダーの下にこそ、アホがはびこることがある。なぜなら、アホが生きやすいからだ。
人格者のリーダーは、自分を基準にして考えて、周りに居る人間も自分と同様に人格者だと思いがちである。
また、海外では「失敗から人間は学ぶ」という考え方が一般的で、失敗には寛容だ。それどころか、「人間の成長には失敗を必要とする」と考えているリーダーも少なくない。
つまり、一度や二度の致命的なミスで人間を判断しない。それは素晴らしい考え方だが、その寛大さにつけこむアホがいるのだ。
アホはしたたかだ。人間には、接触時間の長さでその人に好感を持つ「単純接触効果」というものがある。時間があるアホは、それを悪用する。
寛大な人格者のリーダーに暇を見つけては必死に接触し、人格者に取り入ろうとする。そして、「ご注進」という形で、ライバルを蹴落とすのだ。
特に潔さを尊しとする日本人が、そんなアホにやられやすい。
どこかで「お天道様はきっとみている」「あれだけ立派なリーダーが私の正しい行いを見逃すわけがない」と思ってしまうからだ。
アホの頻繁な接触にやられて、アホのいうことばかりを聞く〝人格者〞のリーダーを勝手に見損なってしまい、さらに遠ざけ接触が減る。そうすると加速度的にアホの信頼は増し、潔い人間の信用はさらに減る。
リーダーから見て近づいてこないものは可愛くないのだ。その結果、こちらは素晴らしい人格者をアホと勘違いしてしまい、相手からもアホの烙印を受けてしまう。
立派なリーダーにつけこむしたたかなアホを野放しにしてはいけない。対抗するためには、日本人として染みついてしまった「潔さ」は放棄しよう。そして、意味があろうがなかろうがとにかく頻繁にリーダーに接触し、自分の正しさを説明しないといけない。それくらい泥臭くならないと、したたかなアホには勝てないのだ。
立派なリーダーにこそ、つけこむアホがいると思い、したたかに、しつこく、泥臭く接触していこう。
そしてあなた自身がチームを率いる存在になったときこそ、アホは立派なリーダーに媚びることを忘れてはいけない。