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アホは、ポジション、資金力、権力を使って邪魔してくる

既存の体制の中で賢く立ち振る舞うか? あるいは体制をよりよく変えていくべく立ち上がるか?

あえて二項対立の設定とするならば、私はやや前者の立場に立って前作のアホ本(『頭に来てもアホとは戦うな! 人間関係を思い通りにし、最高のパフォーマンスを実現する方法』 )を書き、それが思わず広く受け入れられた。なぜなら、アホと戦うことは何も生み出さず、ただ精神を消耗するだけだからだ。

ただ一方で、特に正義感あふれる若い方々から「そんな風に皆がアホから逃げていては社会にアホがはびこりよくならない」という批判の声も届く。まさにその通り。

既存の体制の中で、賢く振る舞っていると、その行為自体が既存の体制を強化してしまう。

賢く振る舞いながらもいつか力をつけて体制を改革しようと思っても、自ら強化してしまったその体制が自分の手足をもいでしまう。賢く振る舞う過程で作った貸し借りで、まともな恩義・仁義の心を持っていれば持っているほど何もできなくなる。

本音では皆がアホに対してアベンジャーズのように立ち上がって戦ってほしい。声を上げることの大切さは今の「世界の分断」や「地球温暖化」の問題を見る限りとてもよくわかる。

ポジション、資金力、権力を使って邪魔してくるアホを遠ざけるために必要な「何食わぬ顔」で「余計なことを言わない技術」とは_1
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アホと戦うのは若者の特権でもある。エネルギーも時間も豊富。そこで戦いに敗れ傷ついても、回復は早いし、致命的なダメージにならない点も若者の利点である。

戦うことの意義や、戦いが思い通りにならないことも早いうちに学んでほしい。勝つためにはどういう戦略・戦術が必要かも知ってほしい。なぜなら、守るものができ、人生の目標がはっきりし、立場もできあがってきてから、アホと戦うことは容易ではないからだ。まず、失うものが大きすぎる。

そして社会に出てから立場や守るものを背負って出会うアホに勝つ難易度は半端ではない。アホは、ポジション、資金力、権力を使って邪魔してくる。昔からアホが駆逐されないことには根拠があるのだ。そこからアホと戦うことがどんなに割に合わないかを思い知らされるだろう。

ただちに戦ってもいいと私が思うのは、あなたがなにもかもを持ち合わせている場合だ。それこそスーパーヒーローのように。生まれながらに資金力や権力に恵まれ発信力もある人も世界にはいるだろう。そういう人は戦ってもいいというより、戦う義務があると思う。

しかし、多くの人がそうではない。

ならば自分の人生の目標を達成することを最優先にした方がいい。敵をつくらず味方を増やし、アホまでも巻き込み、その力を使って、人生の目標を達成してほしい。したたかに清濁併せ呑み、体制下で爪を研ぎ、時代を味方につけて、時を見て、味方をつくって立ち上がれたら立ち上がるという。

じつはアホ本もそういう思いで書いた。英語でいう「Don’t fight every battle」である。戦わずに戦うという道を戦略的に選んでいこう。