カギはサイレントマジョリティーの投票行動
泉 もうひとつ、変わり目の後押しをするのは選挙です。ノイジーマイノリティーと、サイレントマジョリティーの話をしましたが、マイノリティーだけどノイジーなのは組織票なんです。組織票は会社組織、宗教団体、労働団体、みんな行くので投票率も高い。いわゆる一般ピープルのサイレントマジョリティーは、まちで手を振ってくれても投票に行かないんです。
この構造があるから、本当は少数のノイジーな人々が選挙で効果を表してしまう。投票率で計算するとまちの人の半数が手を振っても勝てない。だからまちで手を振ってくれるサイレントマジョリティーの支持を7割を超えるようにしようと私はいつも言うんです。逆に言えば、7割のサイレントマジョリティーの投票行動でまちを変えられるということです。
藻谷 サイレントマジョリティーの半分は投票には行かないという現実を見据えて、それでも変革をするには、そういうやり方しかないということなのですね。しかし、いつになったら日本では、学校で「投票の際には、絶対に人の言うことを聞かずに、自分で決めましょう」「投票に行かないのは、賛成票を投じたのと同じこと。反対なら投票しなくてはなりません」と、きちんと教えるんだろう。それをされたら困る政党があるならば、それは民主主義社会には存在してはいけないものではないでしょうか。
それにしても、泉さんと話す前は僕ちょっと暗い気分だったんですが、「世の中変わるで」と聞いて、ちょっと元気が出てきました。確かにそれでいくしかないですわ。また応援に駆け付けますんで、お互い頑張りましょう。
構成・文=宮内千和子 撮影=石川雅彩
#1「なぜ明石のコミュニティバスが全国でトップレベルに成功しているのか? その答えはサイレントマジョリティの声にあります」泉房穂×藻谷浩介