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「所得制限なしの5つの無料化」(18歳までの医療費、第2子以降の保育料、おむつ定期便、中学校給食費、公共施設の遊び場)などの子育て施策の充実、さらに多岐にわたる全国初の施策で、明石市は10年連続の人口増、7年連続の地価上昇、8年連続の税収増を実現した。その推進力となり、明石モデルをつくり上げたのが、3期12年にわたり兵庫県明石市長を務めた泉房穂氏だ。

「このままでは日本が転ぶで」と、お上とケンカ上等のスタンスで現場の声を施策に反映。そんな泉氏の活躍に早い段階から注目し、応援態勢を取っていた藻谷浩介氏(日本総合研究所主席研究員)が、泉氏の著書『日本が滅びる前に 明石モデルがひらく国家の未来』の刊行を機に、対談に駆けつけてくれた。「まだみなさんの泉さんへの理解が浅い」と言う藻谷氏と泉氏との対話は、真摯で、どこまでも熱い。

子どもの支援も犯罪加害者・被害者支援も根っこは同じ

藻谷浩介氏(左)と泉房穂氏(右)
藻谷浩介氏(左)と泉房穂氏(右)
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 藻谷さん、お久しぶりです。藻谷さんには市長として私が動き始めた早い段階から明石市を発見いただいて、評価もいただいて感謝しております。本にも書きましたが、そこからの変化も今日はしっかりとお伝えしたい。

藻谷 「明石市を発見」というのは言いえて妙ですね。私は全市町村と世界各国の年齢階層別の人口を折々にチェックしているので、確かにその際に「明石市でありえないことが起きているぞ!」という発見をしたのです。誰かが書いたものを読んで気が付いたのではありません。

ですが、数字はあくまで結果の一部。数字だけ見ていても、泉さんがやっていたことの意図も意義も到底わからない。そもそも、少子化対策の話ほど真意が誤解されやすい話はないんです。

ようやく日本政府も子どもが減るのはいかんと言い出したけど、何でいけないのか、泉さんが言っているような理由をあげる人は少ないんですよ。国力が落ちるとか、経済力が落ちるとか、そんな理由ばかり並べたてている。そうじゃないでしょう。この本の最初にもありましたが、泉さんは、「産みたい人が産めない社会はおかしいでしょう」と言っているだけなんですよ。

 そうそう、そのとおりです。

藻谷 そう考えると、泉さんがやってきたことがすべてつながってくる。子どもも、障害者も、高齢者も、犯罪被害者も加害者も、区別するのではなく、人なんだからちゃんと同じように対応しましょうよという話になっていく。