“安倍派のことはあなたに相談する”
しかし、幹事長交代となれば、茂木氏が黙っているはずがない。ポスト岸田へ一気に反主流へと名乗りを上げる可能性が高い。また幹事長を外して閣内に取り込むとしても、茂木氏にふさわしい重量級ポストはそう易々とは空いてはいない。冒頭のベテラン議員が続ける。
「結局、留任。このまま茂木氏を重用して主流3派でいき、同時にライバルを傘下に抑え込む。そうやって次の総裁選は自分を支えてもらい、茂木氏にはその次という流れにしたいということ」
萩生田氏、松野氏、西村氏の留任は安倍派への気遣いだ。会長が決まらずに当面、集団指導体制でいくことが決まった安倍派だが、中でも会長候補の5人衆(萩生田氏、西村氏、松野氏、世耕弘成自民党参院幹事長、高木毅国対委員長)の誰かを登用し、誰かを外すとなると、安倍派のゴタゴタに首を突っ込むことになりかねない。
さらに外されたメンバーから反発を食らい、安倍派全体の支援はもらえなくなる。そのため、松野氏、西村氏の留任など、安倍派の多くを重用したというわけだ。
岸田首相が萩生田氏と人事前に2度も会談したことにも注目だ。
「岸田首相は重要な場面で麻生氏、茂木氏との主流3派で話し合っているが、そこに最大派閥の安倍派を呼ばないのはどういうことだと萩生田氏が周囲に怒っていて、これが首相の耳に入った。そこで萩生田氏と2度会うことで“安倍派のことはあなたに相談する”と怒りをおさめてもらい、安倍派の事情も聞いたのだろう」(安倍派閣僚経験者)
2度も会ったことから、萩生田氏を官房長官などの重要ポストに当てるのではといった見方も直前に流れたが、「萩生田氏は旧統一教会との関係があった。今後、解散命令や総選挙などふたたび旧統一教会対応のヤマ場が来るが、その時に閣僚だったら国会で追及される。ここは国会質疑に出席せずにすむ、党側の政調会長留任でということになった」(岸田派幹部)という。