「建設にあたり地盤調査はするが土砂災害がないとはいえない」
一方で、先達山に近い高湯温泉の旅館で働く女性従業員からはこんなコメントも。
「心配なのは土砂崩れ。先日、雨が降った日にお客さんから『山道に砂や石が転がっていてビックリした』との報告を受けました。『もしかしたらメガソーラーによる工事の影響かな……』と思うと心配になります。
そもそも高湯温泉は、県道70号線からしかたどりつけない山間部にあって、この道に降雨による土砂崩れが起きようものなら、一発で孤立集落になってしまうんです。
幸い、まだメガソーラーの工事がはじまってからそこまでの記録的豪雨はありませんが、そういった不安は従業員一同、抱えていますね」
取材を進めるうちに浮き彫りになった「土砂災害の危険性」について、関東地方の太陽光発電関連企業に勤務する男性はこう話す。
「山間部などの野立てにメガソーラーを造成する際は、地盤調査で地面の固さや深さなどをくまなく調査し、一定の審査基準を突破した土地でしか作れないのですが、正直、基準を突破しても工事してみないとわからない部分もある。
2021年に熱海で28人が亡くなった熱海市伊豆山土石流災害のような事故はめったに起きませんが、年に何度か、軽度の土砂災害が起きているのも事実です」
今日も福島市の住民たちは不安な面持ちで先達山を眺めている。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
撮影/Soichiro Koriyama