「中国から頻繁に電話がかかってくるようになったね」
国際原子力機関(IAEA)が公表した報告書によると、福島第一原発の処理水は「国際安全基準に合致している」とするものの、8月24日にはじまった同施設の処理水の海洋放出を受け、中国外務省は「日本政府は国内外の声を無視し、世界の海洋環境と人類の健康を損なうリスクを無視し、放出計画を頑なに進めている」と強く批判した。
その結果、中国国内でかつてないほどの高まりを見せているのが「反日感情」だという。
「処理水の海洋放出がはじまった8月24日以降、福島県をはじめとした全国各地の自治体や飲食店、学校、それに個人の住宅などに中国の国番号『86』からはじまる迷惑電話が相次いでいる。なかには、『あなたはバカですか?』などと一方的に暴言を吐いたり、ののしるような言葉を使って処理水をめぐる対応に抗議するような内容もあり、同日夕方には、中国国内の日本人学校に石や卵が投げこまれる事件も起きた」(情報番組ディレクター)
そんな中国での「反日感情」が激化するなか、29日に東京・新宿にある一軒の居酒屋の外観写真が、ユーザーによってX(旧Twitter)に掲載された。そこに立てかけられた黒板には「中国人へ 当店の食材は全て福島県産です」との文字が書かれており、投稿を知った中国人が該当の店を警察に申告するといった内容の動画がSNSで拡散されていった。
なぜこの居酒屋は、このような内容が書かれた黒板を掲示したのか。8月31日、店主が取材に答えた。
「あの看板は、ちょうど福島の処理水放出のニュースがあった翌日の25日に立てかけたんだけど、ちょっとした俺のジョークだったんだよ。あそこの看板には日替わりでジョークを交えたカキコミをしていて、その日も軽い気持ちで『当店の食材は全て福島県産です』って書き込んだんだけど、そんなの嘘に決まってるじゃん。あれは、俺がよくやる時事ネタのひとつだよ。
でも、お店の休みを挟んだ月曜日に、いつもどおり看板の内容を書き換えようとしたところに、中国人の兄ちゃんがやってきて動画に晒されたってわけ。本当にただのジョークのつもりだったんだけど、あの動画がアップされてから、中国から頻繁に電話がかかってくるようになったね」
「あくまでジョークだった」と語る店主だが、いまだに中国の「TikTok」や「Weibo(ウェイボー)」といったSNSでは「日本批判」が相次いでいる。
「中国のSNSには現在、処理水の海洋放出を反対する人たちのインタビューや動画などが数多く投稿され、『悪魔日本』『畜生国家』のほか、『小日本』という蔑称を使って『あいつらは地球上に生存させるのにふさわしくない』などの過激なカキコミも目立つ。批判はどんどんエスカレートし、『富士山、早く爆発しろ。もう待ちきれないよ』という声もあり、歯止めが聞かない状況になっている」(前出・情報番組ディレクター)