メガソーラー工事で森林伐採。先達山がはげ山に
「福島市は、災害の発生が危惧され、誇りである景観が損なわれるような山地への大規模太陽光発電施設の設置をこれ以上望まないことをここに宣言します。設置計画には、市民と連携し、実現しないよう強く働きかけていきます」
福島県福島市から上記の文言を含む「ノーモア メガソーラー宣言~地域共生型の再エネ推進の決意を込めて~」が公表されたのは、8月31日のこと。
メガソーラーとは未利用の広大な土地等に設置する太陽光発電整備。福島市はすでに多くのメガソーラーを建設しているが、「ふるさとの景観」や「市民の安全安心」を守るため、今後の設置計画については反対姿勢を宣言したかたちだ。
そのきっかけのひとつとなったのが、福島市の先達山だ。約60ヘクタールのメガソーラーを造成する計画で2021年11月から工事に着手したが、広範囲にわたって森林が伐採されて“はげ山”と化したことで、市環境課に多くの問い合わせが寄せられたのだ。
9月初旬、本誌記者が福島市を訪れると、市街地から肉眼で確認できるほど先達山の山肌はむき出しになっていた。山のふもとにある飲食店の50代女性従業員は怒りをにじませる。
「ここの山を通る県道70号線の先には磐梯吾妻スカイラインという見晴らしのいいドライブスポットがあるので、毎年のように県外からの観光客も来るんですけど、やはり『はげ山』になってしまうと景観も損なわれますよね。
うちのお客さんにも何度か『あの山はないんじゃないの?』と言われましたし……」