感覚鈍麻から発展する2次的な病気
子供に感覚鈍麻があるとわかれば、親が注意して子供に接することで多くの場合は解決する。こまめに栄養を摂らせる、怪我がないか確かめる、室温や洋服に気を付けるなどだ。
しかし、親の側に感覚鈍麻があれば、子供は非常に劣悪な環境に置かれることになりかねない。それが聡子の例といえる。
幼いうちに感覚鈍麻の原因がわかり、相応の対処を受けていればいい。だが、そうでない場合は、途中でそれを自覚して行動を変えていくのは簡単なことではない。
かつてホームレス支援をしていた男性から次のように言われたことがある。
「ホームレスの中には何年も体を洗わずに異臭を発している人と、それなりにきれいにしている人がいますよね。ホームレスの中には発達障害の方が多いことは調査から明らかになっていますが、その中には感覚鈍麻で異臭が気にならないという人がいるのも現実だと思います。
実際に『自分のにおいが気にならないんですか』と尋ねても、まったく気にならないという人は一定数います。いくらホームレスでも、ある一定以上の臭いがあれば、普通は気になるものなんです。だから、清潔にする人は清潔にする。でも、そうでない人はずっとしないのです。そういう人は、感覚鈍麻以外にも、いろんな障害や病気があるように感じます」
人は誰しも自分の臭いには慣れやすいものだ。とはいえ、真夏にずっと同じ服を着ていれば、さすがに服や体から発する悪臭に耐えられなくなるのが普通だ。逆に言えば、そうでないのだとしたら、発達障害だけが原因でないにせよ、臭覚に何かしらの問題がある可能性がある。
感覚鈍麻の原因やパターンは1つでないにせよ、それが本人だけでなく、周りの人たちにも大きな影響を及ぼすことは間違いない。
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取材・文/石井光太
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