舞台でしか味わえないパワーが全開
さて、そろそろ舞台の話に移ろう。本作は「科学ファンタジー演劇」と銘打つだけあって、歌あり、ダンスあり、そして“実験あり”の超エンタメショーだった。
まずは、原作ファンの方々も安心してほしい。数々の名シーンを、俳優陣が生き生きと再現してくれるからだ。リアルな人間が演じる舞台だからこそ、あたかも自分がストーンワールドの住人になったかのように錯覚させられた。同時に、ストーリーラインをしっかり見せてくれるので、原作未読の方でも楽しめる舞台になっている。
筆者は、冒頭の大木大樹(演:岩城直弥)が石化から覚醒するシーンで一気に舞台の世界に引き込まれた。大樹のパワフルさ、豪快さ、そして優しさがほとばしっていたからだ。
注目のシーンはいくつもあるが、胸に響く歌やアクションは特に素晴らしかった。千空(演:木津つばさ)や小川杠(演:西葉瑞希)を筆頭に、演者の歌声はダイナミックかつ、心にしみる繊細さを持っている。
また、獅子王司(演:宇野結也)がライオンやコハク(演:永利優妃)と戦いを繰り広げるシーンは、その結末を知っていてもハラハラさせられた。
そして、あさぎりゲン(演:大隈勇太)の不気味な存在感からも目が離せない。元々つかみどころのないキャラクターだが、とあるシーンでぬるりと現れる奇妙さに、舞台の雰囲気がグッと引き締められる(元々大好きなキャラクターだったが、この舞台のおかげでより一層好きになってしまった)。