憧れだったミュージカルで新境地を開拓
――新型コロナウイルスの影響で延期され、2年越しの公演となりますが、率直なお気持ちをお聞かせいただけますか?
井頭 2年越しの公演となる今回、一部キャストの変更により、初めて出演させていただくことになります。
稽古が始まり、共演者の皆さんから、殺陣の練習を2年間継続してきたことや、それぞれが持つ熱い想いをお聞きしました。その上で、自分は今、こんなにも熱量の高い作品に携わっているんだな、という自覚を持ちました。
小さい頃から憧れていたミュージカルというジャンルに挑戦できることも、とても有り難く、まるで夢のように感じています。
――舞台の演技は初めての挑戦とのことですが、新しい発見はありましたか?
井頭 「舞台上でいかに体全体を美しく見せるか」が大切だと知りました。上演ごとに感じたままの芝居をする表現力や適応力が求められますし、映像とは違うその部分に、新鮮さを感じました。
観客と共有する生の空間で繰り広げるお芝居ですから、自分の想いがよりダイレクトに皆様に伝わると思います。だからこそ、「薫」というキャラクターの、心の細かい動きを、最大限表現するにはどうしたらいいだろうと、日々模索しています。
歌に、殺陣に、大舞台にと、多角的に『薫』を表現する
――稽古で苦労したことや大変だったことはありますか?
井頭 ミュージカルは、感情を楽曲に乗せて歌う必要があります。とは言え、今作はかなり展開が早いので、想像していた以上に難しく、苦労しました。
また、映像よりも、役者同士の距離感を広く取り、体を大きく使って演じることが大変でした。
――ミュージカル『るろうに剣心 京都編』の見どころはなんですか?
井頭 なんといってもクライマックスの剣心と志々雄の戦闘シーンは見どころです。圧倒的な迫力を感じていただけると思います。また、ステージは、観客を360度取り囲む形になっており、一般的な劇場以上の臨場感を味わえると思います。回転する客席にも、きっと驚かれるのではないでしょうか。
原作漫画に忠実な部分が多いところも魅力的です。演出の小池修一郎さんは、「どのキャラクターも、漫画から飛び出てきたような感じを出したい」とおっしゃっていました。原作が好きな方にも、この物語を初めて見る方にも、愛されるような「薫」を演じたいです。
――『神谷薫』という、作中でも大事なヒロイン役を演じられる中で、注目してほしいポイントはありますか?
井頭 この舞台では、原作漫画と同様に、『十本刀(じゅっぽんがたな)』という敵と戦うシーンがあります。そこでの薫の活躍は、特に注目していただきたいポイントです。彼女をはじめとした、これまで剣心に助けられてきた仲間達が、今度は剣心の為に命を張る場面です。きっと、ドキドキハラハラして楽しんでいただけると思います。
薫は、剣心にとって心の支えとなるようなキャラクターです。また、負けん気が強く、無邪気で明るく、情が深い女の子です。「剣心のこと、好きなんでしょ?」と言われるとムキ〜ッとなるような、普段とのギャップが可愛らしいと感じました。そんな彼女の魅力を、限界まで再現することを目標に、全力を尽くします。
――原作漫画『るろうに剣心―明治剣客浪漫譚―』で、好きなキャラクターはいますか?
井頭 実はこれまでに、戦いのシーンがあるような少年漫画はほとんど読んでこなかったんです。ですが今回このお仕事が決まり、原作を読み進めて行く中で、『四乃森蒼紫(しのもりあおし)』というキャラクターが好きになりました。何かを背負っているような影がある佇まいに加え、必殺技や決め台詞も格好良いと感じました。
そしてその『四乃森蒼紫』を演じられる松下優也さんも、私の個人的な印象ですが、漫画のキャラそのまんまといいますか……。ミステリアスな雰囲気が似ていらっしゃるように思いました。そこも観客の皆様に是非観て頂きたいです(笑)。