TikTokクリエイターの多くが陥っている勘違い
不安になることが多いユーチューブのクリエイターがいつもアルゴリズムの働き方をひっくり返そうともがいているように、ティックトック萌芽期のクリエイターベースも、システムの裏をかいて有名になれる最大のチャンスを手に入れる方法を見つけだすことに時間を割いている。
オーディエンスを見つけたがっている人たちがアプリに投稿した動画のほとんどすべてが、キャプションに〝#fyp〟(For You Page:おすすめ)のハッシュタグを付けており、このタグが付いていないものはアプリ内で動画を見つけるための主流な場所にはたどり着けないという勘違いが受け継がれている。
そのうえ、ティックトックのアルゴリズムが求めているものを正しく見抜く―あるいはコード化方法を正確に解釈できる―洞察力をもった人はほとんどいない。
(ソーシャルメディアプラットフォームのアルゴリズムの最大の問題は、思いもしない幸運に巡り合える方法を見つけだそうと必死になっている人たちの個性が染みこんでいることだ。実際はコールドロジックで実行されるただのコンピューターコードにすぎないのだが)プラットフォームが比較的若いということは、アルゴリズムについて噂を言いふらす―システムの機能のしかたを知っているつもりでいる―人たちの範囲はサイトでのユーザーの地位を押し上げると約束する業界カンファレンスのイベントを主催している、ユーチューブで盛んなグロース・ハッキングコミュニティよりも小さい。
だが、こうしたアルゴリズムの専門家たちは今でも存在し、アプリが何を優先しているか、それはなぜなのかを見つけ出せるか確認するためさまざまな入力データをテストしている。
まずAIが投稿された動画を選別したから、利用者に公開する
そのなかに動画編集アプリのヴィード(VEED)がある。ヴィードによると、ティックトックはプラットフォームに投稿されたすべての動画をコンピューター制御の2つのレンズで見ているらしい。
最初に、動画内で言っていること、キャプションに打ち込んだことを自然言語処理にかけ、また何をしているか、どこにいるのか、動画がどう展開するのかをコンピュータービジョン技術で見極めたら、それをコンピューターが読み取り可能なチェックリストに翻訳(変換)する。
これについて、バイトダンスの広報担当者がアプリの内部構造についてヒントを与えてくれた。
「バイトダンスでは自然言語処理やコンピュータービジョンテクノロジーを使って文章や画像、動画を理解・分析するインテリジェントマシンを構築しました」。それによってバイトダンスはユーザーが最も面白いと思う動画を提供できるようになった。
だが、ティックトックはすべてのユーザーにすぐには動画を見せない。アプリは終わりのないエンタテインメントの場として、ティックトックを見ているユーザーを信頼している。期待されているような高い水準に至らない動画は、幅広いオーディエンスに向けて提供すると、アプリの品質を見る目が低下する可能性がある。
だから、まずコンピューター支援AIを使って2つのレンズで動画のコンテンツを分析したのち、少数のユーザーにその動画を送り、彼らの反応を評価する。