ホスト遊びの次はインカジにハマり闇金で借金

結果、公園に立つようになってから裏引きも覚えた。ソープ勤務時代の客や出会いカフェの客からアレコレ理由をつけて生活費を振り込んでもらう。公園の客からは、男がシャワーを浴びている隙に財布からカネを盗んで逃げることもあった。琴音と組んで「妊娠詐欺」もする(※妊娠詐欺とは、男性客に対して「妊娠した」と嘘をつき、金銭などをだまし取る詐欺行為)。

買春客と売春嬢── 売春防止法違反を問われかねないという、お互い他人には言えない秘密を共有しあっているからなのか、すっかり詐欺や窃盗の生態系が完成してしまっているようだ。

未華子の住むマンションにて。テーブルに置かれたスマホの下には大量の処方薬が(高木氏提供)
未華子の住むマンションにて。テーブルに置かれたスマホの下には大量の処方薬が(高木氏提供)

しかしホス狂いだったのは27、28歳ぐらいまでのことで、徐々に担当との関係が変わっていき、30歳を過ぎたころにホスト遊びは落ち着いた、と未華子は話した。ようするに、貢ぐ対象がなくなったことによって、未華子は詐欺や窃盗からも手を引くようになっていた。

だが、新たな問題を抱えていた。父親の血筋からなのか、ギャンブルにハマり闇金で借金までしていたのである。

「インカジで一昨日12万勝って、昨日も8万勝ってるんですよ。だけど滞納してた家賃1ヶ月分と、闇金への返済5万円、携帯代3万5千円を払って日用品とから買ったら全部、飛びました」
 
インカジとは、インターネットカジノの略で、実際の店舗内に設置されたパソコンからインターネットでカジノゲームをプレイし、勝敗に応じてその場で現金のやり取りをするギャンブルである。競馬や競輪などの公営ギャンブルではないので国内では当然、違法だ。

果ては、そのインカジにハマり、顔馴染みの外販(ホストクラブへ行く女性向けの客引き)の男からの紹介で3ヶ月前、10日で1割の利息を払う〝トイチ〟の闇金に手を出したのだ。外販からは、「ガチガチのヤクザでもよければ」と前置きされたというが、未華子は「まあ、トイチだったら払えなくないじゃないですか」と、懸念のかけらもない。「何も闇金で借りなくてもいいのに」とボヤく自分が見える──。