家賃10万8千円のマンションに住む32歳・未華子
最初のインタビューから5日後、僕は了承を得て、教えられた住所を地図アプリに入れて西新宿の未華子の自宅へ出向いた。現地で見たのは、まだ築年数の浅いスタイリッシュな単身用マンションである。間取りは1K、風呂とトイレは別。未華子はここで小型犬と一緒にひとり暮らしをしていた。
化粧っ気のない未華子が、部屋着のまま出迎えた。狙いはインタビューの続きはもちろん、未華子の暮らしぶりを知ることである。「私、出不精だから来てくれたほうがありがたい」という、未華子からの提案だった。
未華子は家賃10万8千円のここに、常連客から敷金・礼金、保証会社などの初期費用の提供を受けて、かれこれ1年半ほど住んでいるという。不思議に思われるかもしれないが、関係性を深めるため、買春客のなかにはこうしたカネをポンと出す人もいるのだ。では、17歳で当時の親友・明日香の姉の家に転がり込んでからの住居の変遷はどうか。そんな質問を投げかけた。
「20歳になり川崎のソープで働くようになってからは、明日香の姉の家を出て歌舞伎町の1Kのマンション(家賃11万3千円)に住むようになりました。8年間ぐらい住んでたのかな、その後、担当(ホスト)と付き合うことになり、担当のマンションに転がり込む形で2年半くらい同棲した。でも喧嘩して追い出されて、歌舞伎町のレディースサウナとリブマックス(ビジネスホテル)を行ったり来たりする日々を4ヶ月くらい続けていた。公園の街娼仲間の琴音とはそのとき知り合ったんです」