医療的ケア児も引き取ることに

筆者自身も障がいを持つ子どもの親であり、自分がその当事者になるまでは、障がい者の生活は暗く、重いものであると思っていた。しかし、一度、その世界に入ってみると、確かに大変ではあるが、それは社会が作り出したイメージであることが理解できた。
目の前の少年は紛れもなく自分の子どもであり、生活をともにすることで自然と“普通”になっていったのだ。

その後、松原さんのもとには、大和くんのほかに、生きるために医療的なケアが必要な子ども、いわゆる医療的ケア児の恵満(えま)ちゃんがやってきた。松原さんは現在、実子に加えて、ダウン症の大和くん、そして、医療的ケア児の恵満ちゃんを養子縁組として受け入れ、育てている。

大和くんを松原さんに預ける際に送られた実母からの手紙
大和くんを松原さんに預ける際に送られた実母からの手紙
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「自分の中で、障がいが一番重い子どもを受け入れようと思っていました」

母親から拒絶される子どもがいる現実。
一方、あたたかい家庭で子どもを見守りたい、そう強く望む人々もいるのだ。

“子どもを託す”、その選択肢があることで、子ども、親子にとってまた別の生きる道が導きだされるのではないだろうか。

取材・文/中西美穂
集英社オンライン編集部ニュース班