【人民解放軍の状況】
一方、人民解放軍は202X年に目標とする強軍化(機械化、情報化、インテリジェント化)を完成していた。統合作戦能力を高め、「情報戦下の局地戦に勝利できる軍(リアルタイムでネットワーク化された軍による地域戦争に勝利する)」を創造するという目標を達成していた。
陸軍は部隊のコンパクト化・高機動化及び装備の近代化を推進し、兵站能力を高めた。
海軍は3個の空母機動部隊の運用化、潜水艦及び揚陸艦艇の増勢、陸戦隊の近代化を行い、アメリカの第7艦隊をも凌駕する外洋海軍を完成し、着上陸侵攻能力を高めた。
空軍は警戒監視能力を高め、第5世代の戦闘機の開発を進めて能力の近代化、爆撃能力の強化を図り、西太平洋域において米空軍に比肩する能力を獲得した。
ロケット軍は核を搭載する弾道ミサイルに加えて中距離弾道ミサイル及び対艦弾道ミサイルを増勢するとともに、迎撃が困難な極超音速ミサイルの実戦配備を進めた。
これにより対米核抑止能力は格段に向上していた。
戦略支援部隊は、宇宙戦能力、サイバー・電子戦能力を強化し、加えて民間人で構成する数十万人のサイバー空間作戦団を編成して飛躍的に能力を拡大した。東部戦区は大規模な統合演習を毎年実施して統合作戦能力を高め、隷下部隊の即応態勢を高レベルに維持していた。
東部戦区陸海空軍基地内及び福建省内にある軍管理地域には新たに弾薬・燃料の事前集積場が整備され、各軍の継戦能力は大幅に向上した。
他方面戦区では、特に北部戦区・南部戦区の合成旅団(歩兵部隊や戦車部隊などの混成部隊)、及び統合センター直轄部隊の東部戦区への機動訓練を統合演習に合わせて実施し、戦力集中能力の向上を図った。加えて予備役、海上民兵の動員訓練を実施し、最大動員数を5日間で約40万人まで引き上げた。
連合後方勤務保障部隊司令部は、沿岸地域を航行する船に対し、同司令部の情報系である海上無線を常時傍受させるように命じた。海外航路を航行する船は南シナ海及び第1列島線内に入った段階で同様に傍受させた。