#1
#2

#3

中国・台湾・アメリカ・日本の軍事能力など様々な情報を基に分析を行い、もっとも可能性があると思われるシナリオに基づいて中国軍の台湾進行及び日本への波及、アメリカの参戦などのシミュレーションを行った。展開しているシナリオは、本書(第1部)で触れた図上演習の成果(日本政府の対応)を反映している。『完全シミュレーション 台湾侵攻戦争』より

【Xデー:上陸日】

中国海軍掃海艦艇の後方を航行する揚陸艦や輸送艦などに向け、丘陵地帯や山地・森林地域に巧妙に隠掩蔽された陣地から台湾軍の対艦ミサイル“雄風Ⅱ型”が多数発射されたが、艦隊防空システムを搭載した中国版イージス艦によりその多くが撃墜された。それでも数発が防空網をかいくぐって護衛のフリゲート艦とミサイル駆逐艦に命中し、これらの艦は大破した。

次いで、トンネル型バンカーなどに隠されて温存していた台湾空軍の戦闘機が発進し、スタンド・オフ(射程外遠距離)攻撃で空対艦ミサイルを発射したが、中国軍の艦隊防空システムにより迎撃され、その防空網を破ることはできなかった。

前日、数隻の中国海軍掃海艇が機雷掃海作業中に触雷し沈没したが、おおむね上陸正面の掃海作業は完了しており、予定通り第一波の部隊が台北市・台中市・台南市正面の海岸に上陸を開始した。

元陸将が暴露する中国の「台湾侵攻」完全シミュレーション【第4部】石垣島への攻撃開始…空港、発電所がダウン_1
すべての画像を見る

第一波で上陸した海軍陸戦旅団の多数の大隊戦闘群で海岸堡を確保させたのち、第二波の機械化合成旅団などの重戦力を上陸させ空港・港湾などを確保する。第三波以降の部隊は確保した空港・港湾を利用して揚陸させる計画である。

上陸海岸では、残存している防御部隊の台湾軍と上陸部隊の中国軍との間で激しい地上戦闘が開始された。

上陸地域近傍の市街は、爆撃・砲撃により炎上し激しい炎を噴き上げ、その黒い煙が空を覆った。海岸では破壊された戦車や装甲車が燃え上がり、焼け焦げた兵士の死体が散乱してさながら地獄絵図の様相を呈していた。

台北市東部の平野部には中国軍空挺兵旅団が降下し、台湾軍の首都守備隊と激しい戦闘に突入していた。空挺兵旅団は空挺戦車や歩兵戦闘車を装備しており、台湾軍はじりじりと市街地へ圧迫されていた。中国軍空中突撃旅団は桃園空港にヘリコプター部隊による「ヘリボン攻撃」を行った。台湾軍の空港警備隊と市街戦を繰り広げ、管制塔や格納施設、周辺市街地域を占領した――。
  
以上が中国軍の台湾侵攻シミュレーションの一部である。